あらすじ
リフォーム会社で積算を担当する黒瀬美緒のもとに、奇妙な見積書が現れる。
そこに記されていたのは、まだ何も壊れていない空室の「血痕除去費」と補修費。承認欄には、美緒自身の名前。
二日後、その部屋で人が死んだ。
そして現場は、見積書どおりに壊れていた。
未来予知ではない。怪異でもない。
誰かが、これから起きる損傷を知った上で、先に「直す金額」を決めている。
見積、数量、工種、承認ログ、修繕の順番。
警察には見えない仕事の違和感を、美緒は積算担当者として拾い始める。
壊れたものには値段を付けられる。
けれど、壊れた生活や時間や命には、同じ見積書を出すことはできない。
建築・修繕の実務を武器に追う、現代職業ミステリー。