あらすじ
四人組バンド「雨音クラブ」は、解散寸前だった。
ボーカルのレンとベースのシズクは、付き合って、別れて、それ以来まともに口も利かない。
ドラムのヒロキは「もう解散でよくない?」と完全に投げ気味。
それでもギターのアキだけは、この四人で続けることを諦められずにいた。
そんなある日、レンが言う。
「俺、バンドやめるわ」
どうにもできないまま練習帰りに立ち寄った小さな神社で、アキは柄にもなく手を合わせた。
「……解散しませんように」
賽銭を投げた拍子に、ポケットのお菓子まで賽銭箱へ落ちる。
拾うのも面倒になって、「それもやるよ」とそのまま帰った。
翌日。
「昨日の菓子、もうないのか?」
知らない少女がついてきた。
名前はミョン。
どうやら音にまつわる神様らしい。
けれど、レンをバンドに戻してくれるわけでもない。
シズクと仲直りさせてくれるわけでもない。
むしろ人間の事情などお構いなしに、アキが聞きたくなかったことばかり口にする。
「願ったのはお前だろう。なら、お前がどうにかせい」
解散したくないギタリストと、音にだけやたらとうるさい妙な神様。
壊れかけたバンドが、元には戻れないまま、それでも次の音を探していく物語。