あらすじ

泥水を浴びせられた瞬間、胸を満たしたのは冷たい安堵だった。 身に覚えのない罪を背負わされ、実家からも婚約者からも切り捨てられた。 誰かの身代わりにされるだけの人生なら、もういらない。 北の果てにある不毛の地へ送られることになっても、少しも惜しくはなかった。 凍てつく荒野で生き抜くために、胸に秘めた化学の知見だけを頼りに前を向く。 土の冷たさも、吹雪の厳しさも、工夫次第で変えられるはずだった。 けれど、迎えてくれた元敵軍の司令官は、あまりにも不器用な人物だった。 冷酷な武将と恐れられる彼から投げつけられる言葉は、なぜか耳を赤く染めた動員令ばかり。 泥にまみれた手を取る指先の震えも、命を預けると叫ぶ横顔も、私の知る軍令の冷徹さとはかけ離れている。 これは過酷な最前線への配置転換なのか。 それとも、すべてを懸けた誓いなのだろうか。

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小説を読もう2026/10/05
  • 現在の作品「お前を命を捧げる妻に任命する」と言われましたが、軍令ではなく求婚ですか?