あらすじ
『黒は視る位置により光を放つ──あのひとの死を照らし出すように』
真に見るべき場所は、ただ一点しかない
──ブレーズ・パスカル『パンセ』
一九九三年、記録的な冷夏。
雨のスクランブル交差点を、ひとりの刑事が歩いていた。激しい頭痛と吐き気を抱えながら、病院にも立ち寄らずに。
翌日、刑事は死んだ。
二十八年後。
Instagramで鉛筆画を描く「カスミ」のもとへ、見知らぬ若い女性から一通のDMが届く。彼女もまた、鉛筆で絵を描いていた。
やがて二人の交流は、二十八年前の雨の日へと繋がっていく。