あらすじ
二十五歳の水野楓(みずの かえで)は、怪奇現象を心から愛するホラー作家志望。
休日になれば心霊スポットを巡り、怪談を執筆してはWEBに投稿しているが、彼女自身には霊感が一切ない。
どれほど危険な場所に行っても物音ひとつせず、「また何もなかった」と肩を落として帰路につく。
しかし、彼女がその場を離れた瞬間から、周囲の人間ばかりが奇妙な異変に巻き込まれ始める。
友人宅の鏡が割れ、職場のコピー機から知らない声が漏れ、家族の食卓には泥の足跡が増えていく。
楓は知らない。
彼女の背後には、心霊スポットで見つけた幽霊たちがぞろぞろと列をなし、電車を乗り継ぎ、彼女の生活圏へと運ばれていることを。
驚かせたい幽霊と、体験したい人間。
そして、自らは何も感じないまま霊たちをあちこちへ運ぶ人間——いつしか幽霊界隈で、彼女はこう呼ばれていた。
――「幽霊派遣」と。
恐怖のない鈍感な主人公と、彼女を乗り物代わりに利用する愉快な幽霊たちが織り成す、迷惑すぎるホラー・エンターテインメント開幕!