あらすじ
妻と娘を奪われた。
残された私は、二人を殺した「クマ」への復讐を決意する。
ひとりを殺せば、それで終わるはずだった。
しかし、テレビから流れてきた別の事件をきっかけに、私の視線は、家族を奪った犯人個人から、クマという存在そのものへと向けられていく。
――なぜ、平穏に暮らしている人間が、クマの都合で傷つけられなければならないのか。
「殺す」のではない。
「駆除する」のだ。
それは復讐だったはずの行為を、いつしか「正義」へと変えていった。
仕事も、友人も、日常も。
すべてを捨ててクマの駆除を続けた私は、やがて連続殺人の容疑で逮捕される。
世間は、彼を「大量殺人鬼」と呼んだ。
その一方で、彼を「英雄」と呼ぶ者もいた。
けれど――
私は、そのどちらにも、自分を重ねることができなかった。
これは、一人の男が家族を失い、壊れていくまでの物語。
※本作に登場する「クマ」は、現実の特定の動物や人種、民族、国籍等を指すものではありません。
人のようで、人ではない。
そんな架空の存在を、本作では「クマ」と呼びます。