あらすじ

1990年。 片桐疾風、22歳。 定職には就かず、父の自動車修理工場《KATAGIRI》を足場に、クルマの回送や試乗など、運転にまつわる妙な仕事を拾って暮らしている。 そんな彼の左腕には、父から譲られた1941年製の古いクロノグラフ《チュチマ》がある。 この時計、喋る。 しかも疾風には、チュチマを通じてクルマやバイクをはじめとする「機械の声」まで聞こえてしまう。 高慢なフェラーリ。素直なNSX。 妙に威圧感のあるユーノス・コスモ。 まだ走れるのに、持ち主を失って解体される古いコロナ。 機械たちは、人間ほど自分自身を理解しているわけではない。 だから声が聞こえたところで、故障の原因まで分かるとは限らない。 それでも疾風は、父譲りの運転技術と、機械たちとの少し変わった会話を頼りに、さまざまな仕事とクルマ、人間に出会っていく。 やがて、いつも腕にある古い時計にも、自分が知らない長い過去があることを知る。 魔法なし。転生なし。異世界でもない。 現実世界に、 「機械にも声があるかもしれない」 という妄想をひとつだけ加えた、1990年代のクルマとバイクと時計の物語。 重たい読み味が苦にならないといった方は、前日譚となる外伝1>外伝2>本編の順で読むことで、著者の思惑どおりの叢書的な楽しみ方ができます。

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小説を読もう2026/10/05
  • 現在の作品現代の付喪神は、時計の姿で顕現する。