あらすじ
「そういえば、本家の石は見つかりましたか」
秋祭りの打ち上げで、神主が雅之にささやいた。
祖先は伊賀の忍者だったかもしれない。そんな伝承を追ってきた雅之にも、その「石」の存在は初耳だった。
一方、娘の灯は、大学の課題をきっかけに、聞き流していた父の話に向き合い始める。
本家の建て替えで見つかったという刀、手裏剣、巻物。町に残る服部家の墓。そして、火災で失われた古い記録。
手がかりを求めて会った本家の青年・優希は、自分の家に伝わるはずの話を何も知らなかった。
なぜ、分家の父に語られた秘密を、本家の孫は知らないのか。
神主の言う「石」とは何なのか。
疎遠になった本家と分家。その間に埋もれた過去を、父と娘がたどっていく。