あらすじ
魔王との戦争が長く続く国では、魔王を倒すために「勇者」を選ぶのが恒例となっていた。
しかし、歴代の勇者たちは皆、勇者としての使命を果たそうと最前線に立ち続け、次々と命を落としていた。
そんな中、新たに勇者として選ばれたのは、アレスという青年だった。
ところが、この男、とにかく臆病だった。
戦いが始まればこっそり後方へ逃げ、危険な場所には近づこうとしない。
勇者らしい鍛錬にも熱心ではなく、周囲からは「こんな奴が勇者で大丈夫なのか」と心配される始末。
そんなアレスと共に魔王討伐へ向かうことになったのが、主人公の貴族の家に生まれた一人の騎士だった。
アレスは、兵士たちに食料を分け与え、負傷者を運び、戦いでは無理をせず生き残ることで皆の支持を得ているが、主人公俺は、勇者アレスをあまりよく思っていない。
臆病だからこそ、アレスは誰よりも長く戦場に残り続けていた。
しかし、結果論に過ぎない、といいつつも彼が功績を残しているのは確かなのだ。
なんやかんやで魔王の都へ到達した一行は、ついに魔王の城へと攻め込む。
激しい戦いの末、騎士たちは魔王を追い詰め、いよいよ最後の一撃を加えようとしていた。
――その瞬間。
「待って!!」
勇者アレスが駆け込んできた。
そして、魔王へ最後の一撃を叩き込む。
こうして魔王は倒され、アレスは「魔王を討ち取った勇者」として称えられることになる。
……いや、ちょっと待て。
魔王をそこまで追い詰めたのは、俺達じゃなかったか?
こうして、臆病な勇者と、それに振り回され続けた騎士たちの魔王討伐は幕を閉じる。