あらすじ
通知をオフにした画面だけを何度も確かめてしまう、僕たちの恋はもうただの悪い癖だ。
終わったはずの恋に区切りをつけられず、いつまでも終わらない未練を引き擦る毎日。雑居ビルの屋上から見渡す景色も、無意味に撫でてしまうスマートフォンの黒い画面も、ただ期待と虚しさを映し出すばかり。
相手の顔も、一緒にいた頃の記憶すらおぼろげになっていく中で、去りゆく過去への執着だけが消えずにとどまり続ける。この「悪い癖」を失ってしまえば、自分という存在そのものさえ消えてしまうのではないか——。
忘れられない記憶と虚無感の間で揺れ動きながら、それでも過去には戻れず、泥臭く前へ進むしかない胸の打ち苦しさを描いたショートストーリー。