あらすじ
# 『世界最強の旅人は、今日も目的地を決めない』
剣と魔法が存在する、広大な異世界。
地球の五倍にも及ぶ巨大な惑星には、八つの大陸が広がり、数え切れないほどの国々が存在している。
人間だけではない。
エルフ、ドワーフ、獣人、魔族、ドラゴニュート――様々な種族が、それぞれの文化と歴史を築きながら生きている。
そして世界には、冒険者と呼ばれる者たちがいる。
魔物を討伐し、ダンジョンを攻略し、時には人々の依頼を受けて危険な仕事を請け負う者たち。
その中でも、世界に四人しか存在しない特別なランク――EX。
主人公、レインはその一人だった。
剣を握れば世界最強。
身体能力は他の追随を許さず、光魔法も規格外。
自分が世界でも頂点に立つほどの強者であることを、本人も当然のように理解している。
だが、彼には世界を救う使命も、倒すべき魔王も、探し求める宝もない。
「……次、どこ行こうかな」
目的はない。
ただ、見たことのない景色を見て、食べたことのない料理を食べて、行ったことのない場所へ行く。
そんな気ままな旅を続けている。
幼い頃に両親を亡くしたレイン。
彼が今も大切にしているのは、両親から教えられた言葉だった。
――強い人間が偉いわけじゃない。
――強いなら、弱い人を守れる人間になりなさい。
――困っている人がいたら、できる範囲で助けてあげなさい。
だからレインは、旅の途中で困っている人を見れば助ける。
悪人には容赦しない。
けれど、本人にとってはそれも特別なことではない。
一つの街を救っても。
一人の少女を助けても。
巨大な魔物を倒しても。
「じゃあ、俺は次の街に行くから」
そう言って、また歩き出す。
けれど――
レインにとっては何気ない一日でも。
助けられた人間にとっては、その日が人生を変える一日になることがある。
レインに救われた少年が、いつか冒険者を目指す。
彼に助けられた少女が、家族と店を守り続ける。
彼と出会った商人が、人生をやり直す。
彼に敗れた者が、自分の生き方を見つめ直す。
レインが去った後も、人々の人生は続いていく。
この世界の主人公は、レインだけではない。
彼が出会う一人ひとりにも、名前があり、家族があり、夢があり、悩みがあり、そして人生がある。
世界最強の男は、今日も目的地を決めずに歩いていく。
その旅の先で、また誰かの人生と交差する。
これは――
**何の目的も持たない世界最強の旅人と、彼と出会った人々が紡いでいく、剣と魔法の異世界群像ファンタジー。**