あらすじ
「貧乏だとは聞いていたけれど、屋根に穴が開いているなんて聞いてないわよ!」
貿易と織物で財を成した父が爵位を買い、晴れて貴族の仲間入りを果たしたベルモンド家。
その一人娘ヴァレンティナは、家柄を求める父の意向で、由緒だけなら申し分ない名門ローゼンベルク侯爵家の当主アルベルトと政略結婚することになった。
派手な金髪に濃い化粧、大ぶりの宝飾品。
見るからにお金のかかりそうな妻を迎えたアルベルトだったが、実はヴァレンティナのドレスは格安通販、真珠は模造品。
料理、裁縫、家計管理まで得意な、見た目に反して恐ろしく生活力の高い女だった。
一方、歴史と格式を誇るローゼンベルク侯爵家の実情はというと――。
雨漏りする屋根。
擦り切れた絨毯。
なぜか毎晩出てくる高級ワイン。
昔からの慣習を疑わない使用人たち。
そして、それらを「侯爵家とはそういうものだ」と受け入れている夫。
「……あなたたち、お金の使い方がおかしいわよ?」
商人仕込みの金銭感覚と家政能力を武器に、ヴァレンティナは侯爵家に積もった小さな問題を一つずつ片付けていく。
そんな成金の妻をどこか見下していたアルベルトも、いつしか彼女を見る目が変わり始めて――。
これは、派手好きだけど倹約上手な成金令嬢が、雨漏りする名門侯爵家と、少々面倒くさい人間関係を少しずつ立て直していく物語。