あらすじ
「倒した魔物の数が、零だ」
攻撃力ゼロの盾役レンは、勇者の隊を追放された。
仲間を守るたびに壊れる盾。自腹の薬代。報酬を分ける前に経費を引いてほしいと頼んだだけだった。
この世界へ転生して二十四年。レンの攻撃力は、一度も上がっていない。
けれど盾へ触れた一撃の行き先を変える技能〈返盾〉には、まだ試していない使い道がある。
飛んできた炎は、そのまま魔物へ。仲間が撃つ大魔法は、敵の死角へ。
威力は増やせない。同時に来る攻撃も、毒の霧も返せない。だからこそ、誰と組むかが大切だった。
そんなレンを雇ったのは、上級魔術師リディア。
「私の魔法を、あなたの盾で運んでください」
そこへ、腕も報酬も安売りしない兎獣人の斥候ノノが加わる。
道具代を確かめ、役割を決め、帰る力を残す。三人が目指すのは、まだ誰も踏破していない〈王冠の迷宮〉の五十層。
二つの砲口。盾では返せない重力。天井から降る光の雨。
足りない力を補い合い、一度の撤退から最後の攻略法を見つけていく。
攻撃力は最後までゼロ。それでも、この盾でしか届かない一撃がある。
追放された転生盾役の再出発、迷宮攻略、そして魔術師との恋を結末まで描く、全二十四話の完結作。