あらすじ
転生魔法に大失敗した大賢者、ケイン・アルカディード。
彼は二百年後の世界で、日本の一般家庭にて「犬」として生を受けた。
名前は、ケン。
安直だからこそむしろ被らないだろうという、謎の逆張りが命名の理由である。
彼は飼い主を慮り、なるべく「人間と同じ生活」を送るよう心掛けた。
トイレは普通の便座に座って済ませ、食事も風魔法を使って手に吸着させたスプーンで摂ったり、風呂も腰を風魔法でサポートしつつ後ろ脚だけで立ち、可能な限り一人で入ったりしていた。
ただ、犬になったせいで魔法詠唱が不可能になった為、全て無詠唱でなんとかしていた。
大賢者のなせる技である。
そんな、あまりにも賢くて賢くて賢過ぎる犬として、大切に飼われていた大賢者ケイン、もとい飼い犬ケン。
犬に生まれ変わって、二年後。四月中旬。
飼い主である女子高生の優希の願いにより、ケンは彼女の彼氏、剣斗のダンジョンアタック配信を見ていた。
剣斗はオークらの巧妙な罠に引っ掛かかり、一階層下のボスフロアへと落下してしまう。
パーティーメンバーと離され、一人でボスと対峙するハメになった剣斗。
まさかの事態に、大きな悲鳴をあげる優希。
ケンは彼女の涙を拭うべく、急ぎ剣斗救出に向かうのであった。