あらすじ
怖いのは嫌。痛いのも嫌。だけど、誰かが泣いているのはもっと嫌。
子河童の弥太は、茄子とお日様と、清らかな水が大好き。
浮島ほどもある大きな亀の千吉を相棒に、神々や草樹に見守られて旅をしていた。
ところが、千吉が眠っている間に、うっかり川に流されてしまう。
越えてはいけない大岩の向こうには、命を喰らい、魂を染める「穢れ」が待つという。
帰りたい。千吉のところへ、優しい皆のところへ。
そう願う弥太に、小さな白い猫が助けを求めた。
七日のうちに来なければ、守っている人間の子供たちが死んでしまう――。
難しいことは分からない。人間だって怖い。
それでも、助けてと言われたら、知らんぷりはできない。
勝気な金色の鳥・蘇芳を姉貴分に、泣き虫河童の旅が始まる。
水が語り、花が祈り、神々にも叶えられぬ願いが息づく世界。
小さな命の真っ直ぐな想いが、出会う者たちの心と定めを動かしてゆく、優しくも恐ろしい和風ハイファンタジー。