あらすじ

神谷透は、篠宮雫という少女を知らない。 ――はずだった。 会ったこともない。話したこともない。 それなのに透の頭には、彼女と知り合って半年間を過ごした記憶がある。 好きな飲み物も、癖も、二人で交わした会話も。 今日、一緒に映画へ行く約束をしていたことさえ知っている。 まるで、自分ではない誰かが彼女を好きだった記憶だけを、突然渡されたように。 そしてその日の午後六時四十二分十七秒。 雫は、透の目の前で死んだ。 次に目を開けると――午前十時十八分。 そこには、何も知らない雫が立っていた。 今度こそ助ける。 映画をやめた。 水族館へ行った。 遠くの町へ逃げた。 家に閉じこもった。 病院にも連れていった。 それでも。 何をしても。 篠宮雫は、午後六時四十二分十七秒に死ぬ。 なぜ自分だけが今日を繰り返しているのか。 なぜ知らないはずの少女との記憶を持っているのか。 そして――なぜ世界は、彼女を死なせようとするのか。 何度同じ一日を繰り返しても、雫は透との時間を忘れてしまう。 それでも透だけは覚えている。 映画を見たことも。 水族館へ行ったことも。 知らない町まで逃げたことも。 彼女が笑ったことも。 そしていつしか、誰かから与えられたはずの恋は、 紛れもなく透自身の恋になっていく。 これは、明日を迎えられない二人が、 まだ存在しない「その先の世界」へ辿り着くまでの物語。

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カクヨム
カクヨム2026/10/05
  • 現在の作品世界Cの僕たちへ ――君が死ぬ18時42分17秒を越えて