あらすじ
高校二年の春。
バドミントン部の朝練に向かう途中、俺は毎朝同じ女子を見かける。
隣のコートで、一人だけ早く来ている女子。
宮本結菜。
明るくて、誰とでも話せる。
クラスでも人気がある。
でも、俺が彼女と話すのは「おはよう」と「また明日」くらい。
それでも俺は、彼女を見るのが好きだった。
誰もいない体育館で、一人で練習している姿が好きだった。
だから、ある朝。
いつもより早く体育館へ行った俺は、誰もいないと思っていた彼女が、コートの隅で泣いているところを見つけてしまった。
「……朝倉くん?」
「ごめん。見なかったことにする」
「待って」
彼女は涙を拭いて、少しだけ笑った。
そして、俺に言った。
「明日から、一緒に朝練してくれん?」
それが、俺たちの距離が変わる最初の日だった。
ただ一つ、俺は知らなかった。
彼女には、好きな人がいることを。