あらすじ

午前四時過ぎ。 仕事を終えた私は、雨の降りそうな街を歩いていた。 そのとき、バッグにつけていたキーホルダーを落とした。 拾ってくれたのは、見知らぬ男の人。 「爪、長いですね。綺麗だなって」 たった一言。 たったそれだけだったはずなのに、なぜかその言葉がずっと残った。 それからしばらくして、私はもう一度彼に出会う。 怖い夜に背中をさすってくれた彼。 映画に誘ってくれた彼。 おすすめの映画やアニメを教えてくれた彼。 三時間も電話をした彼。 何も言わなくても、いつもの灰皿を用意してくれる彼。 優しいのは、仕事だから? それとも――私だから? 「友達」という言葉に逃げながら、私は少しずつ気づいていく。 会えると嬉しい。 LINEが来ると嬉しい。 声を聞くと安心する。 それはきっと、ただの「友達」ではなかった。 雨の日に始まった、名前をつけられない恋の話。

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カクヨム
カクヨム2026/10/05
  • 現在の作品穴の空いた傘