あらすじ
竜を一撃で落とした国軍の『最強魔女』ニア。
その初陣に、観客全員が有り金を張った。
――ただ一人、彼女の負けに全財産を張った男を除いて。
出力を腕輪で揃える魔導杯では、一撃にすべてを込める彼女の溜めはただの隙。しかも撃つ前に、右肩が上がる。
結果は完敗。その日のうちに、彼女の呼び名は「最強(笑)」に変わった。
「右肩だ。明日には選手全員にバレてるぞ」
男の名はクロウ、教え子の一人は現王者。だが八百長の濡れ衣を着せられて学院を追われ、いまは酒と博打で借金まみれ。
その晩の勝ち金までルーレットで溶かし、借金取りに囲まれた彼の前に、負けたばかりの魔女が立つ。差し出したのは、兵器として稼いだ俸給の全額。
「その借金、私が払います。だから、私を勝たせてください」
こうしてクズは、最強(笑)の指導者になった。
クロウが読み、ニアが撃ち抜く。勝つたびに賭けのレートは狂い、損をした胴元と運営は、ルールを変えてまで二人を潰しにかかる。
二人一組の義務化。指導者との接触禁止。そして、指示の全体公開の義務化。
相方になったのは、クロウを恨む元教え子イリス。決勝で待つのは、彼が育てた現王者。
それでも、この男の読みは止まらない。
笑っていた世間も、追放した学院も、やがて手のひらを返し始める。
そして彼を恨んできた教え子たちも、三年前の真実にたどり着く。
「負ける奴には賭けねえ。だから、お前の優勝に全部張る」
追放された元教官と笑われた魔女が、魔導杯の頂点をひっくり返す!