あらすじ
人間の相談に乗りたくて心理士になった。
それなのに、ある日相談室へやって来たのは、人間の女性社員・田中さんと、男性型AI社員・ミナトさんだった。
二人の相談内容は、
「昨日、残業中に幽霊を見ました。」
しかも、どういうわけかAIであるミナトさんまで怖がっている。
そして私には、その幽霊本人が普通に見えていた。
三年前に事故で亡くなった元社員・佐伯美緒さん。
生前、仕事以外にこれといった趣味もなく、死んだ後も何をすればいいのか分からないため、今日まで毎日会社へ出勤しているらしい。
さっさと成仏してほしい。
ところが私と関わったせいなのか、田中さんだけでなく、なぜかAIのミナトさんにまで幽霊が見えるようになる。
さらに、
「私、この人好きです! ミナトさんの推し活します!」
幽霊がAIに惚れた。
その数日後。
「私に恋愛感情は理解できるのでしょうか?」
今度はAIから恋愛相談を受けることになった。
恐怖とは何か。
恋愛感情とは何か。
意識とは何か。
身体を持つことと、「感じる」ことにはどんな関係があるのか。
昨日の自分と今日の自分が同じだと、一体何をもって証明するのか。
人間には意識がある。
AIは人工物である。
幽霊は死者である。
そう分ければ簡単だったはずなのに、三者を見れば見るほど、その境界線はぼやけていく。
私は人間専門の心理士なのだ。
AIと幽霊の恋愛相談など、どう考えても専門外である。
近未来の会社を舞台にした、お仕事コメディ×哲学SF。
※本作は小説家になろうにも掲載しています。