あらすじ
幽霊なのに、友達がいない。
放課後の体育館。写真を撮りに来た高校生・水無瀬駿が出会ったのは、誰もいないステージで一人きりのライブを開催している幽霊少女・ユラだった。
「わ、わたし……いつか満員のお客さんの前で歌ってみたくて……」
観客ゼロ。友達ゼロ。知名度ゼロ。
しかも霊感のない人間には姿どころか歌声まで届かない。
絶望的に配信者向きではない。
ところが駿の撮った一枚の心霊写真をきっかけに事態は急変。
ユラの存在が幽霊界隈で口コミされ、お岩さんから妖怪、音楽家の幽霊まで体育館へ集結。さらに文化祭運営が投稿した「何も映っていない動画」が、なぜか心霊動画としてバズってしまう。
なお、霊感のある人には普通にユラが映っているらしい。
「これ、バズってる……?」
「心霊現象としてな」
「ジャンルが違う!」
やがて学校では「見える派」と「見えない派」が発生し、寺院、スピリチュアル界隈まで参戦。
本人の知らないところで、ボッチ幽霊はどんどん有名になっていく。
それなのに。
ユラが本当に見てほしい相手は、いつしか一人だけになっていた。
「ねえ駿。もし、いつかわたしが見えなくなったら――忘れる?」
触れられない。
一緒に卒業できるかも分からない。
それでも放課後になれば、二人はいつもの体育館へ向かう。
これは、成仏より先にバズりたかったボッチ幽霊と、彼女を写真に残した少年の、ちょっとバカで、ときどき切ない青春心霊ラブコメ。
――なお本人は今日も、「友達はいない」と言い張っている。