あらすじ
初夏の南仏プロヴァンス。
カダラッシュにそびえ立つ人類史上最大の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」。
その心臓部である日本製のミリ波プラズマ加熱装置「ジャイロトロン」に、不可解な異常プログラムが仕組まれた。
欧州の影の軍事結社「サン・シル結社」が狙うのは、炉心の爆破ではない。
あえて一億度の人工太陽を暴走寸前まで追い込み、その臨界の炎から発生する桁外れの「メガワット級高周波波形データ」を強奪すること。
冬のルーヴルで回収された失われた数式という【設計図】に、核融合プラズマの【莫大エネルギー】が合致した時、あらゆる防空網を焼き切る不可視の電磁パルス兵器が完成してしまう。
防衛省の影の書記官・間宮律と、航空自衛隊の橘彩香一佐は、密命を帯びて地中海へ飛ぶ。
アンティーブ岬の断崖に建つシャトーの虚飾の夜会、海蝕洞に隠された超伝導サーバー、そしてカウントダウンが進むトカマク建屋の地下迷宮。
映画『太陽がいっぱい』を彷彿とさせる眩惑の陽光とアンニュイな気怠さの裏で、銃創も死体も残さず、合気道と電磁技術で相手の心を折る――。
科学の希望と人間の暗部が激突する、本格インテリジェンス・サスペンス第5弾。