あらすじ
野口総合商事で働く景司は、何事にも動じず、突然の予定変更や予想外のトラブルにも素早く対応する男だった。三件の訪問が一度にキャンセルされれば新規開拓に走り、営業車が山中で故障すれば歩いて顧客を訪ね、夜の宴会が苦手な社員のために昼の茶話会を考える。いつしか彼は「ミスター臨機応変」と呼ばれるようになる。やがて景司は、恋愛相談まで持ち込まれるほど、社員たちから頼られる存在となっていく。だが、臨機応変を広げようとした社内改革では、柔軟さが行き過ぎて大混乱を招き、人生最大の失敗を経験する。そこで彼は、変えることだけが臨機応変ではなく、「守るべきものを守るために、変えるべきところだけを変える」ことこそ大切なのだと知る。そして迎えた定年の日。多くの仲間に見送られ、会社を去ろうとした景司だったが、最後の最後にも思わぬトラブルが起きる。彼は笑って引き受ける。予定どおりにいかない。それでも人生は面白い。景司は新しい道へ歩き出す。