あらすじ

大学に入学した田村は、生物の授業で美術科の野本野本沙希が出会った。 野本沙希はメガネをかけた生気の抜けた干物のような女だ。将来、美術を活かして何かしたいと言うが、毎週生物の授業で会うたびに、将来の希望職種が変る。  しかし、彼女は、自分の中にある何かを表現しようとしている事に、田村は気づく。そして、田村は野本沙希の語る希望職種に耳を傾けた。  前期の試験が終ると、学内で野本沙希を見なくなった。  大学病院近くの喫茶店に入った田村は、そこで店長として甲斐甲斐しく働く野本沙希を見つけた。彼女は伯母の店をまかされて店長をしていた。 「バイトはじめたらハマッちまった。田村が私の話を聞いてくれたように、相手の要望を聞くのも大事だなと思ったら、ここの仕事が単なるバイトじゃなくなったんだ。  まあ、伯母の店でもあるしな」  野本沙希の母方の伯母に子どもはいないという。身内の誰かが喫茶店を継がなければ、いずれ喫茶店を廃業すると野本は説明した。 「ああやってくつろいでる客に、日替わりメニューを作ってすすめるんだ。いろいろ喜ばれてる。  それに、あれだ・・・」  野本は客と店内の本棚を示した。店内全ての壁は、本が詰まった本棚で埋まっている。客はそこから本を取りだし、客席へもどって読みふけっている。客席は全てソファーだ。一人掛けのソファーも二人掛けのソファーもある。 「漫画か?」 「ああ、全部シリーズ物だ。四コマ漫画もある」 「もしかして・・・」 「うん。この店をやりながら、私の漫画も置きたいんだ。  大学は卒業するよ。美術を将来に活かすんさ。  田村がいろいろ私の話を聞いてくれたから、何が自分に合ってるか絞り込めた。  ありがとうな。今日はおごりだ。のんびりしてけ。  今日のお勧めはスペシャルブレンドかマンゴージュースと、特製ドレッシングのサラダと・・・」  今、目の前でメニューを説明する野本沙希はメガネをかけていない。少しふっくらして、血色も良く、とても可愛いい。もう、乾ききった干物みたいな野本沙希はここにはいない。

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エブリスタ
エブリスタ2023/01/13
  • 現在の作品8 私の心に、何が用意されているのだろう