あらすじ
昭和三十三年、師走。下町の銭湯「松の湯」の番台に座るのは、町一番の器量良し・おトク。口説こうものなら桶が飛んでくる、気っぷのいい看板娘だ。
ある夕暮れ、湯上がりの大工三人組が「十円足りねえ!」と騒ぎ出した。何度数え直しても、十円だけが合わない。疑いの目は、よりによって番台へ。
「あたしの番台で、十円が消えるわけないだろ」
銭箱はひっくり返り、そろばんは湯船に浮かび、男湯には悲鳴が響く。
番台の名誉をかけて、おトクが湯けむりの脱衣所で十円の行方を追う。
笑いと人情がにぎやかに湧く、昭和下町の銭湯ナゾトキ。