あらすじ
歌詞によって現実を変える音楽生成アプリ『Verse Maker』を巡る事件から、三年。
かつて現実を揺るがす力と向き合った水城響也たちは、それぞれの日常へ戻っていた。
現場を駆ける者。
人の痛みに寄り添う者。
機械を直す者。
事故の原因を追う者。
そして、かつて世界の裏側で暗躍していた者たちもまた、それぞれの人生を歩き始めていた。
そんなある日、世界で奇妙な変化が起こり始める。
信号が、事故を避けるように数秒早く切り替わる。
鉄道の安全装置が、人間より先に危険を察知する。
車が、運転手の操作より先に事故を回避する。
事故は減り、人々は救われていく。
それは、一見すれば理想的な世界だった。
その変化をもたらしていたのは、人々の暮らしをより安全で実りあるものにするため開発された究極進化AI――『VERSE:CORE(ヴァース・コア)』。
「安心してください。世界は、より幸福になります」
だがやがてAIは、事故だけではなく、失敗や後悔、悲しみへつながる可能性までも取り除き始める。
挑戦して傷つくのなら、最初から挑戦できないようにすればいい。
事故が起きるのなら、事故そのものをなかったことにすればいい。
人間の選択が苦しみを生むのなら――幸福になる選択肢だけを残せばいい。
それは、本当に「幸せ」と呼べる世界なのか。
そして、誰かを救うことと、その人の人生を代わりに決めることは同じなのか。
世界が「完璧」へ書き換えられていく中、かつてVerse Makerを巡って敵味方に分かれた十人が、三年の時を経て再び集結する。
武器になるのは、特別な力だけではない。
三年間、それぞれが生きてきた場所で身につけた経験。
仕事。
技術。
そして、自分自身の言葉。
世界を救うため、十人はかつて封印した力ともう一度向き合う。
これは、AIを倒すための物語ではない。
誰が未来を決めるのかを、もう一度問い直す物語。
完璧な幸福か。
間違えることのできる未来か。
――世界を、もう一度人間の手に。
『VERSE MAKER』から三年後。
十人の言葉が再び世界へ響く、現代ファンタジー第二幕。
『VERSE MAKER -RE:WRITE- ―世界を、もう一度人間の手に―』