あらすじ

子どもの頃に住んでいた家を、あなたは覚えているだろうか。 古い畳の匂い。 夜中に軋む柱。 誰もいない部屋から聞こえる小さな物音。 昼間なら何でもないものが、夜になると別のものに見えてしまう。 私の実家は、築百年を越える古い家だった。 今から思えば、あの家には昔から「何か」がいたのかもしれない。 けれど、それを怖いものだと思うようになったのは、もっと後のことだった。 子どもだった私は、見えているものを、そのまま受け入れていた。 怖いものも。 可笑しなものも。 寂しい夜に、そっと近づいてくる気配も。 そして三十年が過ぎた。 私は今、自宅の襖を眺めながら、この話を書いている。 あの家の「何か」は私を見守ってくれてた。 少なくとも、私はそう思っている。 祖父から一つだけ、固く口止めされていたことがある。 だから、これは怪談ではない。 昔の家で起きたことを、ただ書き記しただけだ。 ……そう。 私は、まだ誰にも話してはいない。

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エブリスタ2026/10/04
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