あらすじ
事件にならなければ、傷は存在しないのか。
桐花高校をめぐる事件から、わずかな時間が過ぎた。
学校は「桃花学園高等学校」として再出発し、大沢茉侑もまた、高校教師としての日常を取り戻そうとしていた。
けれど、以前の彼女とはもう違う。
見えてしまったものを、見なかったことにはできない。
誰かが踏み外す未来を知りながら、何もしないという選択もできない。
そんな茉侑の前で、新たな事件が動き始める。
女性ばかりを狙った、不可解な連続殺人。
被害者たちは意識を残したまま身体の自由を奪われ、抵抗も、助けを求める声さえも封じられていた。
使用されたのは、医療現場にも関わる特殊な薬剤。
そして、目立たない場所に残された、ごく小さな注射痕。
警視庁捜査一課の園生圭子が捜査を進める一方、桜井潤、葛城百合、そして茉侑も、それぞれの立場から事件へ近づいていく。
しかし、彼らが追うものは「殺人」という明確な輪郭を持つものだけではなかった。
被害届にはならなかった恐怖。
診断名のつかなかった痛み。
記録されなかった違和感。
証拠として採用されることのない、声、呼吸、沈黙、そして「間」。
法や記録の境界からこぼれ落ちたものは、本当に存在しなかったことになるのか。
やがて犯人の視線は、捜査する側へ――そして茉侑自身の日常へと入り込んでくる。
普通の高校教師だった大沢茉侑は、どこまで踏み込むのか。
桜井は彼女を守るのか、それとも自分の足で立たせるのか。
そして、閉じられていたAMAZONESSの扉が、再び静かに開き始める。
「事件」になる前にも、傷はある。
声にならなかったものを拾い上げる、AMAZONESS第二章。
『AMAZONESS case2
Silent Evidence ― 事件未満の傷 ―』
case1から続く物語ですが、本作からでもお楽しみいただけます。