あらすじ
風を布に縫い留め、空に浮く梨の果樹園を支える魔女ミゼラ。傾いた植栽床を繕おうとするが、縫い足すほど、周囲の古い帯へ負担が移ってしまう。
地面なら木を育てられる、と言うセヴィ。使える材を見極めるオルデン。上空で干す果実の香りを惜しむ園主ハスタ。そして、手を貸しても、ミゼラと同じ縫い方は選ばない魔女ラク。
庭を戻したい。木を残したい。これからも、ここで働きたい。
五人の願いは重なりながら、同じ答えにはならない。
針だけでは解けない根と暮らしを前に、ミゼラは、自分以外の手へ仕事を渡せるだろうか。
空の果樹園を舞台に、守ることと手放すことを描く生活ファンタジー。