あらすじ
2014年、秋。
まだ5歳だった時川歩香は、母親に頼まれた「はじめてのおつかい」の帰り道、住宅街で迷子になってしまう。
泣きじゃくる歩香の前に突然現れたのは、未来から時空を越えてやってきたAIタイムマシン――リプリス。
しかしリプリスは、同行していた時川港とはぐれ、偶然にも自分の未来の創造主となる「5歳の歩香」と遭遇してしまった。
「未来のマスターに接触するなんて、歴史が変わってしまいます!」
必死に逃げるリプリスを、歩香は無邪気に追いかける。
やがて港が現れ、リプリスは未来へ帰還することになる。
残された歩香は、港からもらった「真っ直ぐ歩けば、お母さんのいる家に帰れる」という言葉を胸に、もう泣かないと決める。
そしてその直後――。
落ち葉の中から、親とはぐれた小さな本物の赤ちゃんリスを見つける。
「きみも……迷子なの?」
自分と同じように不安そうな小さな命を、歩香は優しく抱きしめる。
「お姉ちゃんだから、きみを守ってあげる」
その日、歩香はそのリスに「ナッツ」と名付けた。
それは、後に15歳の歩香と別れることになる、大切な家族との最初の日。
そして――未来のリプリスが過去へ落とした小さな時空の波紋は、100年にも及ぶ運命の物語へとつながっていく。
これは、歩香がまだ何も知らなかった5歳の秋に起きた、未来と過去を結ぶ「はじめての出会い」と「ちいさな約束」の物語。