あらすじ
アイドルなんて、理解できない。
一瞬のスポットライトを求めて人生を懸けるアイドルも。
そんな彼らに夢中になり、大金をつぎ込むファンも。
大手広告代理店で働く滝沢里穂、25歳。
仕事一筋、アイドルに興味なし。
そして――恋愛にも、興味なし。
そんな彼女が転職を機に手に入れた、三か月間の長期休暇。
のんびり過ごすはずだった里穂に、芸能事務所を経営する姉・麗華がとんでもない仕事を持ちかける。
「今日からこのアイドルグループのプロデューサーをやってもらうから!」
任されたのは、売れ悩む五人組男性アイドル「confetti《コンフェッティ》」――通称「コンティ」。
ミッションは、三か月後に開催されるキャパ1000人のライブを完売させること。
しかし、ファンクラブ会員800人に対して、前回のライブ動員はわずか320人。
おまけにメンバーは、毒舌な最年少に、色気を振りまくセクシー担当、誰にでも優しいリアコ製造機、距離感のおかしい熱血リーダー、そして練習にすらまともに現れない元天才子役――。
揃いも揃って、一癖ある男たちばかり。
「売れない商品には、必ず理由がある」
広告業界で培った経験を武器に、里穂は五人が売れない理由を探り始める。
一人ずつと向き合い、彼らの素顔を知るうちに見えてきたのは、ステージの上からでは決して分からない、それぞれの葛藤と夢だった。
アイドルは商品。
ファンは顧客。
恋愛なんて面倒なだけ。
――そう思っていたはずなのに。
「里穂さんって、本当に誰のことも好きにならないんですか?」
その一言から、少しずつ何かが狂い始める。
恋愛感情のない「恋人」との結婚。
プロデューサーとアイドルという越えてはいけない一線。
そして、生まれて初めて抱く、名前のつけられない感情。
これは仕事だ。
彼らを売るために、近づいているだけ。
それなのに――どうして、こんなに目が離せないんだろう。
三か月後、1000人の観客で会場を埋めることはできるのか。
そして、恋も「推し」も理解できない里穂が最後に選ぶものとは――。