あらすじ
「これ、ここの合鍵。小泉なら、いいよ」
誰にでも明るく接するショートボブのクラスの人気者・東条莉音。
教室の隅で音楽ばかり聴いている小泉四季人。
接点なんてほとんどなかった二人だったが、ある日の放課後、四季人は莉音に「助けてほしいことがある」と連れ出される。
辿り着いたのは、亡くなった祖父が遺した元ジャズ喫茶――莉音だけの“秘密基地”。
そこで四季人が見つけてしまったのは、莉音が誰にも見せずに書き溜めていた詩のノートだった。
「これ、本当は歌にしたかったんだけど、あたし、歌が壊滅的に下手で……」
「歌えなくても音楽にする方法はあるよ」
音楽オタクの四季人が曲をつけ、歌えない莉音が詩を読むと、それは立派な曲になった。
「すごい……! ねえ、これって、他の詩でも出来るの!?」
詩を理解するために、曲を作るために、雨の日には水たまりに飛び込んだり、帰り道の踏切の音を録音しに行ったり、二人でお祭りに出かけたり――。
そうして放課後を一緒に過ごすうち、秘密基地には少しずつ、二人だけのものが増えていく。
合鍵。指定席。マグカップ。そして、二人で作った曲。
ただのクラスメイト? 共同制作者? 相棒? 親友? それとも--。
名前のつかない関係のまま、二人きりの秘密の時間が重なっていく。