あらすじ
人間が死ぬ瞬間を、正確に測った人間はいない。
測定技師・神崎玲司は、深夜の研究施設で、誰も乗っていないはずの精密測定器に「21.3グラム」という不可解な重量が記録される現象を目撃する。
一度だけなら、誤差だと思った。
だが、それは21.3グラム、42.6グラム、63.9グラム――そして、780グラムへと段階的に増えていった。
さらに玲司の周囲では、死を間近にした人々が同じ言葉を口にし始める。
「誰かが来た」
「重いな」
やがて玲司は、自分自身の過去にも、この現象が起きていたことを知る。
十二歳の夏。
川で溺れ、一度心臓が止まった、あの日。
あの日、玲司の命を救ったものは何だったのか。
そして、なぜ今になって、再び「21.3グラム」が現れたのか。
科学では説明できない重量。
死者の記録。
父親が残した、封印された実験記録。
そして――自分だけに見える、濡れた裸足の足跡。
これは、死の瞬間に何が起きているのかを追う、一人の測定技師の物語。
死は、終わりなのか。
それとも――。