あらすじ
「正直に申し上げますと、導入した最初の月は、手間が増えます」
法人向け勤怠管理サービスの営業・桐生司は、
商品のメリットだけでなく、デメリットや導入後に残る手作業まで顧客に説明する。
合わない会社には、無理に売らない。
確認も多い。
商談にも時間がかかる。
顧客からの評判は悪くない。
だが、営業成績では同期の城崎怜に大きく差をつけられていた。
城崎は、相手が欲しいものを素早く整理し、
必要な情報だけを示して契約まで進める営業だ。
「そこまで言ったら、買えるものも買えなくなる」
その言葉を、桐生自身も完全には否定できなかった。
そんなある日、
以前、桐生が「今は導入しない方がいい」と伝えた会社から連絡が入る。
――もう一度、相談したい。
売らなかった客が、なぜ戻ってきたのか。
数字には表れにくかった営業の価値が、
少しずつ形になり始める。