あらすじ
クローズドβから五年。
ただ遊び続けただけの俺は、気づけば、VRMMO『BLACK BOX』で誰よりも多くの職業を渡り歩いたプレイヤーになっていた。
「…悪いな、お前と一緒にいるとメンバーが成長できないというか…」
強すぎた俺は、仲間のパーティを疲れさせてしまった。
怒りも、復讐もない。
パーティを抜け、クランも自分から去り、人の少ない荒野に小さな家を建てた。
もう、目立つのはやめよう。
畑を耕して、静かに暮らす――はずだった。
追放から一か月。
ゲームは、現実になった。
ログアウトは消え、痛みと空腹が戻り、死んだプレイヤーの体だけが世界から消えていく。
ただのNPCだったはずの住人たちも、確かに生きていて、死ぬ。
ゲームのことなら何でも知っているつもりだった。
けれど俺は、この世界のことを何も知らなかった。
最強すぎて追放された男が、現実になった世界で、目立たず生きようとする物語。
スローライフと、世界のサバイバル。