あらすじ
群れを追い出されたオオカミ。
俗にいう一匹狼とは、かなり意味が違う。あれは孤高ではない。負けたのだ。
それでも吾輩は、せめて見た目だけでも孤高の狼らしくあろうと、見知らぬ番を求めて北へ旅立つ。
だが、群れで狩るはずの身で単独生活は思った以上に厳しい。遠吠えも勝ち名乗りではなく、実のところ誰か見つけてくれという切実な合図でしかなかった。
ようやく見つけた番には鼻であしらわれ、砕けた誇りのままさらに北へ。もう期待するのはやめようと思ったその時、何食わぬ顔で通り過ぎた一頭が、なぜか後ろからついてくる。
ただし最初に孤高のふりをしすぎたせいで、番を得てからのほうがむしろ気が抜けない。
これは、孤高でありたかっただけのオオカミが、少々不本意な形で寄り添う相手を得るまでの話である。