あらすじ
浴室から、姉が消えた。
服も、スマホも、靴も残っている。
窓は閉まり、玄関から出た形跡もない。
ついさっきまで、確かにそこにいたはずなのに。
そして、姉が消えた浴室の隅には、昨日までなかった黒い蜘蛛の巣のようなものが張りついていた。
その中心から垂れる、一本の黒い糸。
やがて同じ痕跡は、別の失踪現場でも見つかり始める。
食事の途中。
眠る直前。
ほんの少し席を外した、その間。
生活だけを残して、人だけが消える。
黒い糸は、いったい何につながっているのか。
これは、各地で起きる不可解な失踪と、その場所に残された「黒い糸」を巡る怪異譚。