あらすじ
「お茶汲みとスケジュール管理しかできない地味女など、代わりはいくらでもいる」
大手総合商社『鳴神物産』の会長秘書・槇野佳乃(27)は、長年尽くした先代会長の葬儀直後、後を継いだ三代目社長の元婚約者から、一方的な婚約破棄と即日解雇を言い渡される。
後釜の愛人秘書は、佳乃が残した引き継ぎ資料を「昭和の紙ゴミ」と笑ってシュレッダーに放り込んだ。
彼らは何も知らなかったのだ。
複雑怪奇な政財界の根回し、大株主の懐柔、契約書に潜む法的リスクの回避——会社が傾かずに回っていたのは、すべて佳乃ひとりの『見えない実務』によるものだったことを。
雨の中、ダンボール一つで追い出された佳乃。
その前に、黒塗りの高級サルーンが滑り込む。
降りてきたのは、鳴神物産の最大の宿敵である巨大投資ファンドの冷徹総帥・鷹司誠一郎(31)。
「3年待った。愚息自ら君を手放すとはな」
「年俸5,000万円。私の隣で、君の本当の価値を証明してくれ」
宿敵の右腕(COO)として迎え入れられた佳乃は、地味な装いを脱ぎ捨て、洗練された知性と美貌で政財界を相手に無双を開始する。
財界から「死神」と恐れられる誠一郎も、佳乃の前でだけは過保護なまでに甘く不器用な顔を見せるようになり……?
一方、心臓部を失った鳴神物産は、役員の接待先すら分からず大口銀行を激怒させ、悪質な外資の罠に引っかかり破滅へ転落。
「頼むから戻ってくれ!」と公衆の面前で土下座する元婚約者に、佳乃は冷徹に告げる。
「私のスケジュールに、あなた方の相手をする時間は1秒もありません」