あらすじ
夜勤明けの工場勤務、久瀬修吾、二十二歳。
ろくに眠れないまま仕事を終え、いつもの道を歩いて帰宅していた修吾は、川から這い上がってきた巨大な狼に襲われる。
逃げ切れないと悟った修吾は、亡き祖父から叩き込まれた武術と、偶然手にした折れた鉄パイプを頼りに、辛うじて狼を討ち取った。
その瞬間、聞こえてきたのはあり得ない声だった。
【討伐を確認しました】
【ステータスを解放します】
【経験値を獲得しました。レベルが上昇しました】
さらに告げられたのは――世界最速のレベルアップという、意味の分からない言葉だった。
その報酬として修吾は、異常な成長を可能にする《英雄の資質》と、《アイテムボックス》《鑑定》を手に入れたらしい、
……もっとも、全てを夢だと思い込み、二十二時間近く眠り続けた修吾が目覚めた頃には、そんなことを悠長に喜んでいられる世界ではなくなっていた。
水道も通信も停止し、道路には事故車と死体が転がり、昨日まで存在しなかった巨大な植物が街を侵食している。
そして、人間を餌として襲うゴブリンや巨大化した獣たちまで徘徊していた。
どうやら、世界は本当に変わって、そして終わってしまっているらしかった。
それでも修吾は、ただ安全な場所へ閉じこもることを選べない。連絡のつかない叔父一家を探し、生き残った人間がいれば助けながら、変わり果てた街を進んでいく。
そして旅の途中で出会った一匹の小さなスライムもまた、修吾と共に成長し始める。
崩壊した日常の中で、誰より早く成長を始めてしまった青年と、不思議な相棒スライム。
これは世界最速の一歩を踏み出した『平凡』な男が、人を助け、仲間と出会い、変貌した世界を進みながら___やがて人類圏を取り戻す物語。