あらすじ
勇者が魔王に敗れてから百五十年。
人々の間には、ひとつの噂があった。
――魔王を倒せる可能性があるのは、誰も見たことのない武器を操る【未見の暗器使い】だけだ、と。
その伝説の本人、SSS級冒険者クロス・バレンタインは、今日も腹を空かせていた。
未見の暗器には、とんでもなく腹が減ることと、人の名前がまともに覚えられなくなるという厄介な副作用があるのだ。
金もなく、空腹で倒れかけていたクロスに声をかけたのは、まだFランクの三人の少女冒険者。
「ご飯、おごります……」
その一言でクロスは、彼女たちの依頼を引き受けることになる。
目的は、初心者向けダンジョンの最深部にいる【臆病な針ネコ】の捕獲。
ところがそのダンジョンでは、突然ほとんどの魔物が姿を消し、先に入った冒険者たちまで帰ってこなくなっていた。
お気楽なはずの依頼は、やがて異常な事態へと変わっていく。
そして少女たちは知ることになる。
人の名前ひとつまともに覚えられない、この腹ぺこ冒険者が――
なぜSSS級なのかを。