あらすじ
「君との婚約を破棄する。地味な修繕など、誰でもできる仕事だ」
王太子からそう告げられたリネットは、静かに婚約破棄を受け入れた。ついでに差し出したのは、王宮修繕係の退職届。休日返上の仕事も、未払いの給料も、もう曖昧にはしない。引き継ぎを済ませ、彼女は王宮を去る。
針と銅糸で魔法の回路を縫い直す――それが、リネットのささやかな力。華やかな花は咲かせられなくても、橋や水門、人々の暮らしを支えることはできる。
そんな彼女に仕事を依頼したのは、穏やかな辺境伯ルイスだった。きちんとした給料。週に二日の休日。そして、報告書の末尾にある彼女の名前まで読んでくれる人。
一方、修繕係を失った王宮では、見過ごされていた問題が次々に表面化する。
自分の仕事と、自分の幸せを取り戻す令嬢の、働く日々とゆっくり育つ恋の物語。全24話完結。