あらすじ
十年前、駅のホームで世界が止まった。
銀色の髪の男に助けられ、記憶を消されたはずだった——なのに三浦周は、その日のことをずっと夢に見続けている。
高校二年の春。永田町の交差点で、夢の中の人とすれ違った。
誰も振り返らないその人を追って降りた、半蔵門。古いビルの地下二階には、世界を動かす機械と、京都から運ばれた古い机と、茶渋の輪のついた湯呑みがあった。
「この世界はね、あれで動いてる」
世界の描き間違いを、誰にも気づかれずに直す仕事。
一万年それを続けてきた管理者と、五十年お茶を淹れてきた先輩のもとで、周は放課後のアルバイトを始める。
見えてしまうこと。消してしまうこと。見送るということ。
静かな世界の片隅で、ひとりの少年が「自分で選ぶ」までの、一年の物語。