あらすじ
本書は、播磨国姫路を拠点として五代にわたり生きたY家の軌跡を、一次史料と口述記録をもとに再構成した歴史叙述である。
江戸後期の姫路藩士・九郎五郎を起点に、看守として近代国家の法秩序を支えた梅次、鍛冶職人として地域産業を担った梅太郎、インパール作戦で散華した工兵・健次、戦後復興の食卓を支えた進、そして高度技術社会の最前線で精密制御工学を切り拓いたTへと至る系譜は、近世から現代に至る日本社会の変容を映し出す鏡でもある。
本書が描くのは、単なる家族の記録ではない。武士の矜持、技術への情熱、地域共同体との結びつき、戦争と復興の記憶、そして現代のモノづくりへと連なる精神の継承である。
この物語が、読者にとって自身のルーツを見つめ直す一助となり、また地域史・家族史研究の一資料として役立つことを願う。