あらすじ
村の帳面に記された、よその土地を見てみたい。
二十一歳の一助は、伊能忠敬の測量隊に加わった。
鎖を持ち、海辺を歩き、夜は帳面を読み合わせる。泥にまみれた道が紙の上の線になる。その面白さを知るころには、旅は思っていたよりも長くなっていた。
やがて測量を終えても、地図を仕上げる仕事は残る。
そして、確かめてもらうはずだった師が亡くなった。
家へ帰るか、この部屋に残るか。
一助は仲間の惣吉とともに、まだつながらない線に向き合う。
伊能忠敬の測量と没後の地図完成を題材に、成果を支えた人々の手仕事と選択を描く、全五章の歴史短編。
※一助・惣吉は架空の人物です。史実を土台に、個別の出来事や会話を創作しています。