あらすじ
公爵令嬢ヴァイオレットは、王太子エドガーの婚約者として五度の人生を過ごし、そのすべてで処刑された。
嫉妬したから死んだ。
善良に振る舞っても死んだ。
国のために尽くしても死んだ。
何もしなくても死んだ。
そして五度目では、過去の記憶そのものを封じ、直感だけに従ってエドガーとの婚約を解消しようとした。それでも待っていたのは、反逆罪による処刑だった。
五度目の処刑台で、すべてを思い出したヴァイオレットは決意する。
――次こそは何も忘れない。
――そして今度こそ、必ず生き残ってみせる。
六度目の人生で目を覚ましたヴァイオレットは、ようやくエドガーへの恋を捨てた。
しかし、ただ婚約を解消するだけでは再び処刑される。
ならば王太子ですら簡単には手を出せない相手と、先に結婚してしまえばいい。
ヴァイオレットが選んだのは、現国王の弟にして、戦場では「銀狼公」と恐れられる王弟公爵ルーファス・グランディア。
女嫌いで有名な彼のもとへ押しかけたヴァイオレットは、三年間だけの契約結婚を持ちかける。
「ご安心くださいませ。わたくし、閣下を愛するつもりはございません」
ところが、冷酷と噂される銀狼公は思っていたよりずっと誠実で、ヴァイオレットを守ることにも一切の迷いがない。
生き残るためだけの偽装結婚。
恋愛など、もう懲り懲り。
そのはずなのに――。
五度の処刑を経験した悪役令嬢と、女嫌いの銀狼公。
これは、恋を捨てた令嬢が六度目の人生でようやく自分の未来を選び、なぜか契約相手から大切にされ始める物語。