あらすじ
とある平凡なアパート。築年数もそれなりで、外廊下の床にはところどころひびが入っていた。
男が部屋を出て、ふと息をついたそのときだった。
「あのー……」
「えっ」
隣の部屋のドアがふいに開き、そこから住人がひょいと顔を覗かせた。中年で小太り、髪はぼさぼさで、くたびれた部屋着を着ているという、いかにもだらしなさそうな風体の男だった。
その住人は玄関から外へ一歩踏み出すと、男の顔と今しがた出てきたばかりの部屋を交互に見比べた。
「空き巣さん……ですよね?」
「……は?」
「いや、空き巣ですよね? だって、その部屋の人じゃないですもん」
「……いいえ」