あらすじ

月綴伊織には、人生を懸けてでも幸せになってほしい人がいた。高校時代、暗闇の中にいた伊織を救い、「生きていてもいい」と教えてくれた人――雪澄玲亜。いつか彼の隣に並べる人間になりたい。ただそれだけを願って生きてきたはずだった。 けれど十年後のある夜、すべてが壊れる。血に濡れた自分の両手。握りしめたナイフ。そして、足元に倒れている男。混乱する伊織のもとへ駆けつけた玲亜は、ただ一言、「大丈夫だから」と笑った。 翌朝――殺人犯として逮捕されたのは、伊織ではなく玲亜だった。 自分と出会ったせいで、大切な人の未来を壊してしまった。絶望の中、伊織が願ったのはたった一つ。もし、もう一度人生をやり直せるなら、今度は、あなたと出会わない。 次に目を覚ましたとき、そこは十年前の高校の教室だった。まだ玲亜と出会う前。まだ何も始まっていない、あの春。 未来を変える方法は簡単だ。話しかけない。近づかない。名前も声も知らないふりをする。 そうすれば今度こそ、玲亜は自分のいない場所で幸せになれる。――そのはずだった。ところが、決して交わらないと決めた二人の人生は、なぜかもう一度、同じ夏へと近づいていく。 避けるほどに重なっていく運命。 忘れていた幼い日の記憶。 そして二度目の人生で、少しずつ浮かび上がっていく――あの夜の事件に隠された真実。 これは、大切な人を救うために「出会わない」ことを選んだ少年と、それでも彼を見つけてしまう少年の、二度目の夏の物語。

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小説を読もう2026/10/04
  • 現在の作品交わらない夏を、君へ