あらすじ
吸血鬼アウレリア・セレスティンを巡る一連の事件からしばらく後。
大きな戦いを終えたPMC《ヤタガラス》は、なお人間社会の闇に潜む吸血鬼たちへの警戒を続けていた。
そんな中、東京の夜で新たな吸血鬼集団が動き始める。
派手な服装、粗暴な振る舞い、喧嘩と享楽を好む若い吸血鬼たち。
かつてのアウレリア派が持っていた威厳も、壮大な思想もない。
九条ホオズキたちは当初、彼らを勢力の空白に入り込んできただけの“小物”だと判断する。
――だが、何かがおかしい。
襲撃先へ向かえば、すでに敵はいない。
追跡すれば、情報が食い違う。
監視カメラ、位置情報、SNS、電子決済、目撃証言。
確かなはずの情報が、少しずつヤタガラスを間違った場所へ導いていく。
誰かがこちらを見ている。
しかもその相手は、人間社会の仕組みを驚くほどよく理解していた。
剣でもない。
銃でもない。
血統でもない。
現代の吸血鬼が手にした新しい武器は――情報。
「夜に紛れれば見つからない」。
そんな時代は、もう終わった。
監視され、記録され、拡散される東京の夜を舞台に、九条ホオズキとヤタガラスは、これまでとはまったく異なる吸血鬼たちとの戦いへ巻き込まれていく。
シリアスな情報戦の裏で繰り広げられる、妙に世俗的な吸血鬼たちとの騒動。
そして、単なるチンピラ集団に見えた彼らの奥に潜むものとは。
『闇を喰らう者たち ― 夜はログを残す ―』
これは世界を救う戦いではない。
ただ、東京の夜の片隅で――
誰が誰を見ているのかを巡る、小さくて厄介な戦争である。