あらすじ
最高の暗殺者として、闇の組織に育てられた少女――ミレイア。
彼女には、暗殺者としてのお披露目を迎える日がすぐそこまで迫っていた。
だが、しかし――その日を迎える前に、組織は壊滅した。
アジトへ踏み込んだ騎士団は、組織に囚われていた少女を発見したと思い込みミレイアを保護した。
「怖かっただろう。もう大丈夫だ」
「……はい?」
実際には、組織で一番恐れられていたのがミレイアだったのだが……。
こうして自由の身になったミレイアは、騎士団長の紹介で冒険者ギルドの職員として働くことになった。
しかし、暗殺の技術は一流でも、世間の常識はからっきし。
さらに彼女は「食事」というものすらまともに知らなかった。
組織で教えられたのは、任務を遂行するための最低限の栄養補給だけ。
彼女にとって食事とは、味のない携行食を無心で咀嚼することだった。
「先輩、夕飯は何を食べていますか?」
「シチューとか、かな」
「シチュー? わかりません」
見かねた先輩は、毎日ひとつだけ料理のレシピを教えることにする。
それは、暗殺者として育てられた少女が初めて手にした「ご褒美」だった――。