あらすじ
夜の部屋で、洗濯機が小さく鳴いている。
香織は、回り続ける洗濯物をぼんやりと見つめていた。
かつて誰かに愛されることを知らなかった彼女には、今、同じ部屋で暮らす男がいる。
けれど、その暮らしは「守られている」と呼ぶには、少しだけ息苦しかった。
花屋で働きながら、香織の胸に蘇る、ひとりの男の記憶。花と洗濯物に残る匂い。
そして、言葉にならない小さな違和感。
止まらない記憶と、止まってしまった時間。
洗濯機が止まる夜、香織は自分の中にある小さなものと向き合う。
【9月24日の「ゴリラの日」を記念して開催された清坂正吾様主催の個人企画『ゴリラパーティー』の参加作品として書いていました。】